
概念とは?
「概念」としてよく言われることを私なりにまとめると、「同類のものから共通部分を抜き出し、それらを組み合わせて普遍的かつ大まかに表現したもの」となります。しかしこれは「概念」というよりは「抽象」の方が近いのではないでしょうか。
私はそこにこだわってしまいました。
この疑問を解決するキーワードは「本質」でした。
「抽象」化で着目するのは「特徴」であり、「概念」化で着目するのは「本質」だと考えたわけです。私が概念を定義するなら「ものごとを、その本質を意識して、普遍的かつ大まかに表現したもの」となります。
本質とは?
では、「本質」とは何でしょうか。
「本質とは何か」 という疑問は、「概念とは何か」という疑問よりもさらに難しい気がします。
これは難題で、この難題を解くヒントとの出会いを、私は何年も待ち続けることになりました。そしてやっと、自分なりに腹落ちする答えを見つけ出すことができました。
実は、「特徴」と「本質」は、実は言葉にしてしまうと同じです。
「自動車は、どこにでも連れて行ってくれる」
これは、普段の私にとっては、自動車の特徴のひとつです。
ところが、夜中に急病の家族を病院に連れていきたい私にとっては、「どこにでも連れて行ってくれる」は自動車になくてはならない、まさに「本質」なわけです。
つまり、その言葉が「特徴」か「本質」かは、その言葉を使う人の状況、目的や価値観によって決まるわけです。
「特徴」が目的や価値観と結びついたときに、それは「本質」になるのです。
概念化力とは?
概念化力とは、ものごとを概念的にとらえ、そこから本質を見抜く能力のことです。
これは、ビジネスの現場などで遭遇する「正解のない問題」を解くために欠かせません。
厳密には、ものごとを概念的にとらえることと本質を見抜くことは頭の中で同時進行しています。どちらが先にゴールを切るかは、たいした問題ではありません。
私は、概念化力が「真の概念化力」として価値を発揮するには、もうひとつの力が必要だと考えています。それが「共感を得る力」です。
共感を得る力とは、自分が作りだした概念や本質を、周囲に通用する「概念」や「本質」として成立させる力のことです。皆さんがせっかく概念を作りだし、本質を見抜いたとしても、この力がなくては、ビジネスの現場でそれを価値に変えることはできません。
もうお気づきでしょう。
そうです、「真の概念化力」は、私たち日本人の大半の人に欠けている、とても大切なビジネススキルなのです。
抽象化と概念化の違いを図で表現してみましょう。
自動車を例に、抽象化と概念化の例を挙げます。

