概念とは?
「概念」とは何かを言葉でうまく表現することは、私にとって、とても大切なことでした。
長い試行錯誤の末に私が行きついた「概念」の定義がこれです。
同類とみなされる複雑な物事や状況を俯瞰的に捉え、そこにある外見上の特徴のみならず中身のメカニズムや構成要素の関係性に着目することで、共通部分を普遍的かつ大雑把に表現したもの
この定義は、概念化と抽象化の違いに着目することで生まれました。
概念化と抽象化は同じように使われることが多いですが、この違いを私は以下のようにとらえています。
抽象化と概念化の共通点は、同類とみなされる複雑な物事や状況を俯瞰的に捉え、共通部分を普遍的かつ大雑把に表現するという点にある
抽象化と概念化の相違点は、抽象化の場合は “外見上の特徴” を普遍的かつ大雑把に表現するのに対し、概念化の場合は “中身のメカニズムや構成要素の関係性” を普遍的かつ大雑把に表現するという点にある
概念化力の目的は?
概念化することの目的を、私はこのように考えています。
複雑すぎるがゆえに頭の中で検討したり他人と議論したりすることが困難な物事や状況に対して、これらを俯瞰的に捉え、中身のメカニズムや構成要素の関係性を大雑把に表現することで(=構造化することで)、検討したり議論したりできる状況を生み出すことである
それでは、私たちが概念化力を身に付ける目的は何でしょうか。
私は次のように考えました。
ビジネスや社会が加速度的に複雑化する時代にあって課題解決に取り組むためには、すべてを万遍なく扱うのではなく、本質に着目することが欠かせなくなっている。ところが、物事や状況を押しなべて漠然と眺めていたのでは、本質を見極めることはできない。本質を見極めるためには、事前の準備として概念化が欠かせない
つまり私たちは…
複雑な物事や状況の本質を見極め、効果的かつ効率的に対処できるようになるために、概念化力を身につけなければならないのです。
本質とは?
では、「本質」とは何でしょうか。
「本質とは何か」 という疑問は、「概念とは何か」という疑問よりもさらに難しい気がします。
この難題を解くヒントとの出会いを、私は何年も待ち続けることになりました。そしてやっと、自分なりに腹落ちする答えを見つけ出すことができました。
ある日、私は「特徴」と「本質」は、言葉にしてしまうと実は同じことに気づきました。
つまり、「本質」は「特徴」の部分集合だったのです。
これが「本質」という言葉に近づくためのヒントとなりました。
私の考えた「本質」の定義がこれです。
価値をつかさどる特徴や、目的を達成するために欠かせない特徴
求める価値や目的は人や組織、置かれた状況などによって変化します。つまり私たちが本質を見極めるためには、求める価値や目的を先に定めておかなければなりません。
最後に、本質を見極めるための手順を整理しておきましょう。
同類とみなされる複雑な物事や状況の範囲を定める。
概念化する(外見、中身のメカニズム、構成要素の関係性などを概念モデルで表現する)。
求める価値や目的を定める。
価値や目的を意識しながら概念モデルを眺め、物事や状況の本質を見極める。
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