共感に向け、相手を理解するためのポイント
相手から共感を得るには、自分が一方的に話していたのではうまくいきません。
論理的に説明しただけでは、相手の心は動きません。
熱意は大切ですが、過ぎた情熱はうっとうしがられてお終いです。
「自分の概念は正しいので、きちんと論理的に説明すれば、相手はわかってくれるはず」
そう考える人もいますが、たいていはうまくいきません。
相手が皆さんと同じ価値観、同じ問題意識であればいいのですが、そうとは限らないからです。
特にビジネスの現場では、まったく違う環境にある人が相手となることが多いわけです。彼らが皆さんと同じように考えると期待するのは無理があります。
概念は正しくても、正しく伝わらない可能性があります。たとえ正しく伝わったとしても、それが相手にとって正しいとは限りません。
共感を得たいなら、相手を理解することから始めましょう。
相手を理解し、自分が創り上げた概念を、相手に伝わりやすくアレンジするのです。
では、相手を理解するにはどうすればいいのでしょうか?
皆さんはこれまでにも、いろいろな場面で、相手を理解しようと努力してきたはずです。
私も同じです。コンサルタントである私には、これは切実な問題です。
そんな私が実践している方法を紹介しましょう。
私は、「問題意識」、「関心の対象」、「価値観」、「持論」、「セオリー」、「思考パターン」の6本の柱で相手を観察し、時には相手の身近な人から情報収集します。そして、得られた情報を概念的に組み上げて相手を理解します。
「問題意識」や「関心の対象」はうまく利用します。
場合によっては問題意識をすり替えたり、新たな問題意識や関心の対象を提供することもあります。
「価値観」や「持論」は、説得しようとしたり否定したりしてはいけません。対立を招きかねないからです。自分の概念や背後にある理論をうまくアレンジして、相手の価値感や持論に添わせることが大切です。もちろん、その場合も本質は変えてはいけません。
「セオリー」とは、相手がより所としているビジネス理論などです。相手のセオリーがわかれば次の展開が読めます。
「思考パターン」とは、相手がものごとをとらえるときに、どのような考え方を好むかのことです。例えば帰納法的な積み上げを好む、MECEな分類から入りたがる、数値的な根拠を重視するなどです。相手の思考パターンに沿った説明を心掛けます。
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